夜と霧 119104

今回、紹介します本は世界中でベストセラーとなった「夜と霧」です。

この本は内容がけっこうヘビーなので紹介しようか迷ったのですが、生きるということについて深く考えさせてくれるものだったので紹介しようと決めました。

著者ヴィクトール・フランクル(心理学者)がナチス強制収容所で様々な体験をして、その時どのような気持ちだったのかという「心」にフォーカスをあてた内容になっています。

それでは行きましょう!

コアイザワールド的要約

時は1942年、第二次世界大戦の真っ只中。

ヒトラー率いるナチスドイツは圧倒的な独裁政権で次々と国を侵略し、国土を広げていました。

ヒトラーはドイツの民衆に対し「我々、アーリア人は優れている。そして劣等民族であるユダヤ人たちを追い出し、国を統一させよう!」

ヒトラーの名演説に国民は皆酔いしれ、彼の言葉を信じます。

こうしてナチスによるユダヤ人の迫害が始まりました。

その中の一人に著者のヴィクトール・フランクルも含まれていて、ユダヤ人であった彼は当時、精神科医をやっており自分の病院を開設して、結婚もしたばかりという幸せな状況でした。

しかし、いよいよ彼にもナチスからの出頭命令が出てしまい、妻とフランクルの家族全員、強制収容所に連れて行かれることになってしまったのです。

~地獄の始まり~

何百人というユダヤ人と共に強制収容所に到着したフランクルがまず目の当たりしたのが命の選別

将校らしき人物が一列に並んでいるユダヤ人に対して右へ左へと指さししていきます。

これは後になって発覚したことですが、将校の指差しの意味それは、右が労働につかえそうな者、左は労働に不向きな者で、この時9割の人たちがガス室送りになってしまいました。

何とも残酷というか・・・本当にこんなことが行われていたと思うと胸が痛みます。

この時フランクルは、労働者として使えると判断され強制収容所で働くことになりますが、所持品は全て没収され、丸坊主に丸裸、人としての尊厳をすべて奪われます。

唯一与えられたものそれは囚人番号「119104」

そして、この時の心理状態として収容ショックという状態になるとフランクルは言います。

自分の置かれて状況に対して絶望してしまうという状態のことで、この状態から抜け出せない人達は後に自殺に踏み切ってしまいます。

こうして自殺した者もいれば収容ショックを乗り越え、生き残った者たちもいました。しかし生き残った人たちの収容所生活は過酷なものでした。

毎日10~12時間の労働、飯は水のようなスープとわずかなパン、寝床も板切れの上に何人も並んで寒さに身を寄せながら寝るという最悪の状況でした。

この状況から皆は痩せこけ屍のようになってしまい、餓死や病死が相次ぎます。

フランクルはこの極限状態の中なんとか生き延び、そして収容所で運命的な体験と思想を手にします。

~愛する妻との会話~

ある日、収容所で強制労働させられているフランクルの目の前に突然、愛する妻が現れ彼女と会話をします。

彼女は微笑み、幾度となく会話を交わし、実際に目の前にいるのではないかという錯覚に陥りました。

そしてフランクルはこの時の想いをこう語っています。

「何人もの思想家、詩人がその生涯の果てにたどり着いた真実が、生まれてはじめて骨身にしみたのだ。愛は人が人として到達できる究極にして最高のものだ、という真実。人は、この世にもはやなにも残されていなくとも、心の奥底で愛する人の面影に思いをこらせば、ほんの一時にせよ至福の境地になれるということを私は理解したのだ。」

「この時、愛する妻が生きているのか、死んでしまっているのか、わからなくてもいい。ただそこに愛する妻の精神的な存在、愛する妻の姿を心の中に見つめるということが何よりの救いなのだ。」

もうここで自分は本当に泣きそうになりました。

あまりにも過酷で辛すぎる状況。まぼろしの妻と会話をして救われた、この体験があったからこそフランクルは己の心を守れたのだと思いました。

生きる意味とは~

今現在、苦しい状況に置かれ、絶望している人たちに伝えたいこと生きる意味とは・・・

「ここで必要なのは、生きる意味についての問いを180度方向転換することだ。わたしたちが生きることからなにかを期待するのではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているのかが問題だ。」

「つまり、人生の意味を問うのではなく、むしろあなたの人生から問われているのだと。生きることは日々問いかけてくる。わたしたちはその問いに対し向き合わなければならない。運命が人間を苦しめるなら、人はこの苦しみと向き合い、この苦しみに満ちた運命を受け入れ、それを背負わなければならない。それはあなたにしか体験できない唯一の運命なのだから。」

めちゃくちゃヘビー(笑)

ですが、この過酷な状況を生き抜いたフランクル先生が見出した運命、そしてこの想いは多くの人たちを勇気づけ、心の支えになっているのは間違いないと思いました。

人生の意味を問う姿勢をやめて、自分は人生からどうしたいのか、どう生きたいのか期待されてると・・・考えかたを変えると何だか心が軽くなった気がします。

今回はヘビーな内容だったので次回は軽いヤーツにします。

最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。😀

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